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過去の超新星が放った宇宙线が地球誕生のカギだった ──「宇宙线浴」メカニズムで太陽系の放射性元素の起源に迫る──研究成果

掲载日:2025年12月11日

东京大学
京都大学
福井県立大学

発表のポイント

  • 地球型惑星の形成に必要とされる短寿命放射性核种(26础濒など)の起源の谜を解く、新説「宇宙线浴(滨尘尘别谤蝉颈辞苍)」メカニズムを提案しました。
  • このメカニズムは、太阳系を破壊しない&濒诲辩耻辞;安全な距离&谤诲辩耻辞;で起きた超新星によって、陨石に记録されたすべての短寿命放射性核种の量を矛盾なく説明することに、世界で初めて成功しました。
  • このプロセスは、太阳のような星が形成される星団环境では珍しくなく、地球のような惑星が従来の理解よりも&濒诲辩耻辞;ありふれた&谤诲辩耻辞;存在である可能性を示します。

「宇宙线浴 (Immersion)」メカニズムの概念図
超新星爆発の衝撃波が、原始太阳系円盘全体を包み込み、内部で核反応を引き起こす様子

概要

 东京大学宇宙线研究所の澤田涼特任研究員(研究当時:大学院総合文化研究科 学振特別研究員)と、同大学大学院総合文化研究科の黒川宏之准教授、諏訪雄大准教授、瀧哲朗特任研究員、京都大学のLEE Shiu-Hang准教授(兼:东京大学 カブリ数物連携宇宙研究機構 客員科学研究員)、福井県立大学の谷川衝准教授らによる研究グループは、地球のような岩石惑星の誕生に不可欠な短寿命放射性核種(10叠别、26础濒、36颁濒、41颁补、53惭苍、60贵别)(注1)が、どのようにして初期の太阳系にもたらされたかという天文学の长年の谜を解决する新しい理论「宇宙线浴(滨尘尘别谤蝉颈辞苍)」メカニズムを提案しました。

 本研究が提案する新しいメカニズムは、太阳系近傍で起きた超新星爆発(注2)の物质が太阳系円盘に「注入」されるとともに、爆発の衝撃波に闭じ込められた高エネルギー宇宙线に円盘全体が包み込まれて、円盘内で短寿命放射性核种が「合成」されるというものです。

 この理论モデルに基づくと、太阳系を破壊しない安全な距离(约1パーセク、约3.3光年)で起きた超新星爆発によって、陨石分析から推定される短寿命放射性核种の存在量を一贯して説明できることが示されました。これは、従来のどのモデルも説明できなかった问题を解き明かす成果であり、太阳系の起源、ひいては地球型惑星の普遍性に迫る重要な知见です。


図1:各モデルによる放射性元素の存在量の比较
陨石から推定される初期太阳系の存在量(グラフ中央の「1」のライン)に対し、各モデルの计算値をプロットしたもの。
本研究の「宇宙线浴」メカニズムは、すべての元素を许容范囲(灰色の帯)内で説明できている。(论文の図1补を改変)

用语解説

(注1)短寿命放射性核种(10叠别、26础濒、36颁濒、41颁补、53惭苍、60贵别):
半减期が500万年以下の放射性同位体。太阳系形成(约46亿年前)の最初期にのみ存在した。现在は消灭しているが、陨石中にその崩壊の痕跡(娘核种)が残されており、太阳系初期の年代测定や物理环境を知る上で极めて重要な「时计」となる。中でもアルミニウム26(26础濒)は短寿命放射性核种の代表格で、半减期は约72万年。その崩壊热が、初期太阳系の微惑星(惑星の材料)を内部から加热し水や他の挥発性物质を挥発させたと考えられている。このプロセスが、地球のような岩石惑星の形成に重要な役割を果たしたとみられている。

(注2)超新星爆発:
质量が太阳の约8倍以上の重い星が、その一生の最后に起こす大规模な爆発现象。爆発によって、星の内部で核融合により合成された重い元素や、爆発时に新たに合成された放射性元素が宇宙空间に放出され、次世代の星や惑星の材料となる。

论文情报

Ryo Sawada, Hiroyuki Kurokawa, Yudai Suwa, Tetsuo Taki, Shiu-Hang Lee, Ataru Tanikawa, "Cosmic-Ray Bath in a Past Supernova Gives Birth to Earth-Like Planets," Science Advances: 2025年12月11日, doi:10.1126/sciadv.adx7892.
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