小脳のシナプス刈り込みの仕组み解明研究成果

「小脳のシナプス刈り込みの仕组み解明」
1.発表者:
东京大学大学院医学系研究科 神経生理学分野
教授 狩野方伸
2.発表概要:
生后间もない动物の脳には过剰な神経结合(シナプス)が存在するが、やがて必要な结合は强められ、不要な结合は除去されて、神経回路は成熟する。これを「シナプス刈り込み」とよぶが、今回小脳において、その详细を解明した。
3.発表内容:
生后间もない动物の脳には过剰な神経结合(シナプス)が存在するが、生后の発达过程において、必要な结合だけが强められ、不要な结合は除去されて、成熟した机能的な神経回路が完成する。この过程は「シナプス刈り込み」と呼ばれており、生后発达期の神経回路に见られる普遍的な现象であると考えられている。自闭症や础顿贬顿(注意欠陥多动性障害)などの発达障害において、発达期のシナプス刈り込みの异常が関係すると考えられている。
私たちは、シナプス刈り込みの仕组みを调べるために、定量的な解析が可能な小脳の登上线维とプルキンエ细胞の间のシナプス结合を用いた。生まれたばかりの动物のプルキンエ细胞では、5本以上の弱い登上线维がプルキンエ细胞の根元に相当する细胞体にシナプスを形成しているが(添付资料①)、大人の动物ではたった一本の强力な登上线维が、细胞体から大木の枝のように张り出した树状突起にシナプスを形成している(添付资料④)。この树状突起はいわば“胜者の席”であり、発达段阶で、ここに侵入してシナプスを形成できた登上线维だけが生き残り、大人の动物でプルキンエ细胞の活动を制御して、小脳の机能に重要な役割を果たすようになると考えられる。
私达は、どのようなプロセスを経て复数の登上线维の中から1本の登上线维のみが树状突起にシナプスを形成するようになるかを、电気生理学的および解剖学的手法を駆使して调べた。その结果、登上线维がまだ细胞体上にある间に、强い登上线维(胜者)と弱い登上线维(败者)の选别はすでに始まっていることを见出した(添付资料②)。そして、胜者のみが树状突起の“胜者の场”に移动することができ、それ以外の败者の登上线维は细胞体に取り残されて、生后15日までに除去されることを明らかにした(添付资料③)。
神経细胞は、树状突起、细胞体、轴索という复数のコンパートメントからなる。私たちが明らかにしたのは、発达期のシナプス刈り込みにおいて、必要なシナプス入力を、その本来の落ち着き先であり、“胜者の场”である树状突起に移动させて确保し、“竞争の场”である细胞体上で不必要な入力のみを选択的に除去できるようにするための仕组みであると考えられる。
4.発表雑誌:
Neuron
(Cell Press;発表論文タイトル:Translocation of the “Winner” Climbing Fiber to Purkinje Cell Dendrite Followed by Removal of the “Losers” from the Soma during Cerebellar Development)
5.注意事项:
July 16 issue(7月16日号)に掲載予定。米国東部時間で7月16日の正午(日本時間7月17日午前1時)までは、すべてのプレスリリースが禁止されています。
6.问い合わせ先:
〒113-0033 东京都文京区本郷7-3-1
东京大学大学院医学系研究科 神経生理学分野
教授 狩野方伸
7.用语解説:
プルキンエ细胞:小脳皮质に存在する大型の神経细胞で、小脳皮质からの情报を出力する唯一の神経细胞。
登上线维:脳干の延髄にある神経核(下オリーブ核)から、小脳皮质のプルキンエ细胞へ情报を伝える入力线维。大人の动物においては、ほとんどのプルキンエ细胞にはわずか1本の登上线维がシナプス结合している。
8.添付资料: