グローバルキャンパスへの进化が道半ば
东大で学ぶ留学生は2015年の3,062人から2024年には5,104人まで増加しました。
総数だけ见ると、留学生の获得は顺调に伸びているように见えますが、その内訳を见てみると课题が见えてきます。
世界のトップ大学间での优秀な学生获得竞争が激しくなるなか、东大は何をすべきなのか。
グローバル教育センターのセンター長を務める矢口祐人先生と、アフリカ留学生会代表を務めるLandry B. Kassaさんに問題点を指摘してもらいます。
もっと积极的な教育の国际交流が必要
世界中から多様な留学生を

YAGUCHI Yujin
総合文化研究科教授?グローバル教育センター(骋濒辞产贰)センター长
多様な背景を持つ学生が様々な意见や価値を交差させる环境は、优れた教育と研究に不可欠です。确かに大学全体でみると、东大の留学生は増えています。しかし现状は中国からの优秀な学生の増加に支えられており、他の地域の出身者は横ばいか减少倾向にあります。もっと多様な留学生に来てもらうキャンパス作りが不可欠です。
例えばアジア圏。过去10年间のデータによると、韩国からの留学生は486人&谤补谤谤;369人に减少、台湾は149人&谤补谤谤;179人とほぼ横ばい。约2亿8千万人の人口を抱えるインドネシアからは61人&谤补谤谤;105人と増加していますが、インドネシアから海外留学する人が急増していることを考えると非常に少ないです。そして海外で学んでいる学生が130万人といわれる人口世界一のインドからは68人&谤补谤谤;82人とほぼ横ばいです。
世界中の大学が优秀な学生を获得しようとしています。特に人口が多い国についてはマーケットとして见ていて、学生获得のために悬命なリクルート活动を展开しています。アメリカのトップ大学などでは、优秀な留学生に対しては手厚い金銭的サポートを提供しますし、卒业后に社会に残って活跃する机会もそれなりにあります。东大や日本社会はまだそこまでの状况を作ることができていません。ほかにも、例えばインドであれば、アメリカやイギリスに移民コミュニティがあり留学先として考えやすい土台がすでにあるなど、复合的な理由で东大は苦戦してます。

中国からの留学生は2015年度の1268人から2024年度3396人へと10年间で约2.5倍に増えました。一方で、他のアジア诸国からの留学生は减少か横ばい。アメリカからの留学生も少ないままです。
学部に通う留学生はほとんど増えていない
もう一つの课题が、学部の留学生はほとんど増えていないという点です。课题のひとつは言语です。日本で育っていなければ、大学教育を日本语で学べる人は事実上ほとんどいません。国外からの学生を増やすためには、英语で学べるプログラムを充実させていかなければなりません。学部で学ぶ留学生を増やせれば、そのまま大学院に进学する人もさらに増えるでしょう。その意味でも学部での留学生获得は重要です。
一方で、半年や1年という期间东大で学ぶ全学交换留学制度は非常に人気があります。协定を结んで欲しいという大学が世界中にあります。全学交换留学の协定校は现在87。これをさらに増やしていきたいと考えています。特にインドや南アフリカなどの「グローバルサウス」と呼ばれる新兴国?途上国に広げていこうと取り组んでいます。
交换留学で东大に来る学生のためにも英语で行われる授业を増やしていかなくてはなりません。グローバル教育センターでも厂顿骋蝉について留学生と共に英语で学ぶ「グローバル教养科目」を2024年度は70科目近く提供しました。これはすべての后期课程?大学院生が受讲できます。
交换留学制度は「交换」なので、东大からも海外の大学に留学してもらう必要があります。ただ、それが简単ではありません。多くの必修や通年授业があるために留学することで単位を取得できなかったり、就职活动の机会も失ってしまうなど、ここにも复合的な理由があります。最近行った留学する学生へのアンケートによると、约半数が留学する时点で留年が确定していました。さらに33%が留年する予定だと回答しました。つまり标準年限で卒业できる状态で留学する学生はおよそ5人に1人ということです。学生の背中を押してあげるような环境を大学が作らなくてはいけません。教育をグローバルにすれば、海外の大学と竞争するために教育内容も、教育の仕方も変わり、それが大学を豊かにしていく。大学全体としてそういった意识を醸成していく必要があると思っています。
- 矢口先生の着书
数週间の短期留学プログラムや、1年以内の中长期留学など、海外に飞び立つ学生を経済的に支援します。
东大も日本もアフリカでの情报発信が少ない
英语の情报が少なく、あっても分かりにくい

农学生命科学研究科
International Program in Agricultural Development Studies (IPADS)
博士课程3年
UTokyo African Students Union 代表
UTokyo African Students Unionは、約1年半前に発足したまだ若い組織です。現在のメンバーは20名。イベントなどを開催してアフリカの文化を紹介したり、ネットワーキングを行ったりしています。日本への留学に興味を持ってもらえるような、アフリカの学生への働きかけもしていきたいです。
なぜ东大にアフリカからの留学生が少ないのか。アフリカと言っても、国によって话す言语も日本との関係の深さも违うので一概には言えませんが、一つ言えることは、日本への留学、そして东大に関する情报の少なさです。日本に留学したいという意思を持って、自ら探しにいかない限り情报は手に入りません。私は、日本への留学に関するポスターさえ目にしたことはありません。东大に関する英语の情报も少なく、あったとしても非常に分かりにくいことが多い。研究したいプログラムは英语で学べるのか日本语力が必要なのか、そこさえも明确でないことがあります。
私はベナン出身です。私が农学生命科学研究科に入学した2018年には、私を含めて3人のベナン人がいましたが、現在は私一人になりました。ベナンから日本に留学する人は非常に少ないのが現状です。留学先として圧倒的に多いのが、同じフランス語圏のフランス、ベルギー、カナダなど。留学先として日本を選ぶ人は私の周りにもいませんでした。背景の一つが、日本はあまり馴染みのない国だということ。日本企業なども少なく日常生活で日本に触れる機会がありません。
私の场合は日本に関心があったので、自ら留学情报を探しにいきました。きっかけは日本のアニメ。『ワンピース』や『ドラゴンボール』といった作品が好きで、日本に行きたいと思っていました。また、多くの人が留学する驯染みのある国ではなく、まったく违う环境を経験したいと思いました。都市にある大学で学びたかったので、ネットで东京の大学を検索したところ最初に出てきたのが东京大学でした。さらに调べていくと、私が研究したい农业経済のプログラムもありました。奨学金や大学の情报を得るために、在ベナン日本国大使馆に行き、様々なプロセスを経て东大に留学することができました。现在は樱井武司教授の研究室で、サハラ以南のアフリカにおける农业のデジタル化について研究しています。


2024年度の学生全体に占める留学生の割合は、大学院で约30%ですが、学部になるとわずか2%です。
交换留学协定强化の意义
アフリカでの东大の露出を増やしていく一つの手段として、アフリカの大学との交换留学协定を増やしてほしいです。アフリカから日本へ留学する人が増えるだけでなく、东大生がアフリカの大学のキャンパスにいることで、东大の存在を知ってもらえます。知り合いから直接话を闻く口コミのパワーは侮れません。実际私が日本に留学してから、数人のベナンの友人が日本の大学に留学しました。また英语のプログラムも増やして欲しい。今もたくさんありますが、研究内容によっては日本语力がないと难しい场合があります。
东大での経験は非常にインパクトがあるもので、目が开かれました。东大に来る前と后の自分は别人だと思うほどです。様々な文化や考え、ものの见方に接することで、世界が広がり自分自身の可能性も広がりました。アフリカには意欲のある学生はたくさんいます。そこに情报さえ届けば东大に目を向ける人は増えると思っています。
留学生に経済的支援を行います。基金は奨学金の给付、事故や病気の际の见舞金、灾害时などの一时金贷与などに役立てられます。